【産業天気図・電機】今期好調だが、海外が懸念され「晴れ時々くもり」
「アテネ五輪景気の反動はある。だが、それは小刻みな調整」−−シャープの町田勝彦社長は、今下期にデジタル家電販売増の反動が来るとの懸念を一蹴する。アナログからデジタル家電への転換が進む中、市場を刺激するイベントがあれば一時的に盛り上がり、その後には調整期間が訪れる。基調としてのデジタル家電の増勢は変わらず、市場が長期間冷え込むとは考えられない、というのだ。
今期を見ると、各社「上期好調、下期慎重、来期調整」という見方が支配的。富士通の第1四半期は、営業益が期初計画比で150億円上振れという好調な出だし。下期は電子デバイスで減速懸念があるが、通期増額もありうる情勢だ。NECも、モバイル事業の足踏みがあるものの、ほぼ計画通り。来期は半導体でスローダウンが懸念されているが、ネットワーク関連の回復で増益を確保する見通しだ。
「デジタル家電の寵児」であるパイオニアも、最大の稼ぎ手である車載用AV機器は安定継続、DVDレコーダー、プラズマテレビも新製品中心に好調な売れ行きが続いている。
松下電器産業もデジタルAVや白物家電、半導体などが好調で今上期は増額修正に。ただ、通期は据え置いた。通期の増額修正を踏みとどまらせたのは、海外要因。「米国の減税効果もほぼ終わり。消費がどこまで回復するか。また、景気過熱を抑えようとする中国政府の動向も、その影響が不透明で、慎重にならざるをえない」というのは、各社の共通認識だ。携帯電話端末の在庫も、松下、NECともに最大市場の中国ではダブつき気味で、事業戦略の再構築を迫られているのが現実。また薄型テレビ、DVD関連製品などのデジタル家電でも、韓国メーカー等との価格競争が激化している。
家電業界にとっては、国内需要の調整がどの程度で収まるか、また海外市場の先行きをどうつかむかが、勝負の分かれ目になりそうだ。
【エレクトロニクス取材班】
(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部
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