日本の広告会社が強化し始めた公共政策キャンペーン。はるか先を行く世界の潮流は驚愕の連続だ。

PRの発祥は米国独立戦争の民衆参加キャンペーンまでさかのぼる(©Tim Graham/ゲッティ イメージズ)
こんな質問をしよう。あなたは大きな立食パーティに招かれている。ホールには、あらゆる職業や年齢、社会階層の人々が100人いる。あなたのミッションは、チョコ菓子をできるだけ多くの人に売ることだ。ただし選べる手段は二つだけ。大きな立て看板か、あなたのトーク、すなわち話術か。看板はどれだけ大きく派手にしてもよい。ただし立て看板を選んだら、あなたはチョコを売る相手といっさい会話してはいけない。この場合、多くの人は立て看板を選ぶのではないだろうか。
ではもう一つ質問。同じパーティの設定だが、今度のミッションは、政府による新たな炭素税制度の導入について、できるだけ多くの参加者の合意を得ることである。この場合はおそらく、多くの人がトークを選ぶのではないか。賛否両論ある公共政策的テーマでは、大きな看板で目立つよりも、フロアを駆けずり回っていろいろな意見を持つ相手に応じ、綿密な説得・巻き込み・対話作業が必要になってくるからだ。
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