リクルートの創業者として、1970~80年代に『就職情報』や『住宅情報』『とらばーゆ』など情報誌という広告メディアを開花させた江副浩正氏。現在の広告業界が直面している変化について聞いた。
──現在の不況についてどのようにお考えですか。
今の不況は、循環的なものに加え、構造的なものがある。戦後、1ドル=360円だった円は、70年代初頭のニクソンショック以来、どんどん高くなって、ついに90円台まで来てしまった。交易上、たいへん不利な状況だ。こうした中、日本メーカーには「地産地消」への流れが生まれた。
大衆自動車メーカーのスズキは、インドのマルチ社と合弁で「マルチスズキ」を設立し、インドや周辺諸国に車を売っており、また共産圏時代からハンガリーに主力工場を建設し、中欧を中心にヨーロッパでスズキ車を販売している。
衣料品を例に取ればユニクロ(ファーストリテイリング)は、中国やベトナムで生産し日本で売っていたが、現地での販売に力を入れ始めた。
「地産地消」によって、日本企業が国に納める法人税が減少し、国の歳入欠陥が続くだろう。国内の雇用も減少していく。一人当たりGDP(国内総生産)が世界1位だった時代もあったが、これからはGDPも減り、国民は再び慎ましやかな生活をしていくことになるだろう。
──そのときに広告業界のとるべき道は?
広告代理店もメーカーと一緒に海外に出ていくことだ。
アメリカではコカ・コーラや、ペプシコ、あるいはP&Gが海外進出をする際、広告会社が一緒に進出しマーケティングや販売促進の仕事を引き受けてきた。同じように日本の広告会社もスズキのインド進出やユニクロの中国進出などに伴って、現地でのマーケティング戦略などを担当していくのだ。メディアを買う広告代理店的な面よりもアートディレクター的な役割が求められるだろう。企業と一緒になって、現地に受け入れられるパッケージからロゴのイメージ、店舗のデザインを作り出していくのだ。
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