有料会員限定

加速する建築家外し ゼネコンが設計と施工を丸抱え

✎ 1〜 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 最新
拡大
縮小

“小田原の悲劇”が、繰り返されようとしている。

「入札不調から本日まで、市民の皆様にはご心配をおかけして申し訳なく思っています」

6月に神奈川県小田原市の加藤憲一市長は、市民説明会で謝罪した。2017年の完成を目指す市民ホールの建て替え計画で、昨年実施の入札が不調に終わったのだ。建設費の高騰で予算73億円が94億円に膨らみ、一部市民は「建物がぜいたくすぎる」と反対していた。

13年のコンペで選ばれた建築家の新居千秋氏は、数十回にわたり市民と対話を重ね、デザイン案に反映させていった。「基本設計」を終え、構造や設備など細部をデザインする「実施設計」まで済ませていた。しかし小田原市はゼネコンの入札が不調だったことを受けて、延期かデザイン案の修正、あるいは再コンペかを今秋に決める予定だ。

特集「ゼネコン バブル超え」の他の記事を読む

1986年から浮上していた市民ホールの建て替え計画は、過去に白紙撤回を経験している。05年に建築家の山本理顕氏のデザイン案がコンペで選ばれ、建設費57億円で実施設計まで終えていた。しかし小田原城の隣に建設される斬新な建築デザインに市民らが反対。08年に加藤現市長に交代すると白紙撤回を決定したが、再び暗礁に乗り上げた格好だ。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
ゼネコン バブル超え
すべてを維持することは困難
公共工事で急速に活用が進みだした
インフラビジネスの大転換
施工不良の真因
業界を覆う人手不足の実態
超速報!
全国縦断ルポ
建築家 隈研吾氏に聞く
ゼネコンが設計と施工を丸抱え
実はここに使われています!
[TOP INTERVIEW] 清水建設 井上和幸社長
大和ハウスは竹中に肉薄
[TOP INTERVIEW] 大成建設 村田誉之社長
ゼネコンは仲良くすみ分け
3年前から激変!
[TOP INTERVIEW] 鹿島 押味至一社長
総工事費9兆円超 全線“前倒し"開通も
[TOP INTERVIEW] 大林組 白石達社長
赤字受注はもはや過去のもの
高笑いが止まらない!
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料会員登録のご案内