横浜市のマンション基礎杭工事(→関連記事へ)など施工不良が明らかになるたびに浮上するのが建設業の重層下請け構造だ。「請負業者の役割や責任の所在が不明確になりがちな重層下請け構造が改善されないかぎり、施工の品質や安全性の確保、技能労働者の処遇改善も進まない」──国土交通省の審議会でもあらためて指摘されたが、はたして問題は改善できるのか。
横浜マンションの基礎杭工事では、元請け業者の三井住友建設の下に1次下請けの日立ハイテクノロジーズ、2次下請けの旭化成建材が入り、実際に工事を行ったのは3次以下の下請け業者。建設業法には一括下請負の禁止、いわゆる“丸投げ”禁止が明記されているが、施工に関与しない業者の入る丸投げが行われていた。それだけ根深い問題なのだ。
建設就業者数を建設許可業者数で単純に割った1社当たりの就業者数は、1950年代までは30人を上回っていたが、66年に中小業者に公共工事の受注機会を確保する官公需法が施行されると、元請けチャンスの拡大で建設許可業者が一気に増大した。同時に1社当たり就業者数は80年に約10人に縮小し、工事の受注状況に応じて協力業者を外部調達する重層構造が定着。それから30年以上が経過したが、1社当たりの就業者数は約10人のまま横ばい状態が続く。
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