全国の鉄道各路線の営業係数(100円の収益に要する費用)は、一部を除き公開されていない。そこで国土交通省鉄道局監修の『鉄道統計年報』に掲載されている各事業者の営業損益に関する数値を基に算出する試みを『週刊東洋経済』2010年4月3日号以降、毎年行ってきた。
7年目となる本年も分析をと意気込んだものの、例年年初に取りまとめられるデータが国土交通省からいまだ発表されていない。もともと『鉄道統計年報』は掲載されるデータの年度が終了してから2年弱遅れての発表であった。だが、近年はその遅れがさらに進行し、本年に至っては16年度が始まった4月1日現在でも13年度のデータが明らかにされていない。したがって、本稿では残念ながら従来どおりの手法での営業収支の算出は断念せざるをえなかった。
さて、営業戦略上の必要に迫られてか、はたまた本誌での営業係数の試算に触発されてか、近年になって一部の鉄道事業者から路線ごとの営業係数を発表するケースが見られる。JR北海道は「平成26年度 線区別の収支状況について」を16年2月10日付で公表し、路線ごとどころか一部の路線では区間ごとに営業係数を明らかにした。JR東日本は各路線の営業収支自体は公表していないものの、「路線別ご利用状況」と題して05年度以降の同社の各路線、一部の路線では区間ごとの旅客輸送密度(旅客人キロを年度内の営業キロで除した指標。平均通過人員ともいう)を発表している。近年は路線ごとの旅客運輸収入も公にするようになったため、営業係数の試算に当たり、より誤差の少ない数値を求めることが可能だ。
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