豊田章男社長がトヨタ自動車に入社して2年目。元町工場で鍛えられたのが、林南八氏だ。林氏はトヨタの技術者として最高位の技監を経て、現在顧問を務める。トヨタ生産方式の生みの親である大野耐一・元副社長から直接薫陶を受けた最後の世代だ。長く豊田社長と付き合ってきた林氏が、社長とトヨタの課題を語り尽くす。
私が(製造)課長のときかな。部長に呼び出されたら、章男さんがおって「今度、君の課を担当していただくことになった。現場をご案内しろ」と言われた。
なんで新入社員を“ご案内”しなきゃいかんのか、とムカーッとしてね。「おまえは入社2年目だろ。目いっぱい怒られたことはあるか」と聞いたら「ありません」と言う。「そんな不幸なことはない。俺が幸せにしてやる」「よろしくお願いします」。それが豊田社長との出会いだ。
あるとき、何らかのミスで部品が足りなくなる事件が起きた。夜8時過ぎに章男さんが来て「どうしましょう」と聞いてきたので、「こういうときに何とかするのが工務部の仕事だ。知るか」と追い返した。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら