有料会員限定

『「学力」の経済学』の著者が解説する 7つのポイント PART1 教育を「科学」する なぜ今“教育経済学"なのか

✎ 1〜 ✎ 17 ✎ 18 ✎ 19 ✎ 20
拡大
縮小

科学で斬れば、教育の知られざる一面が見えてくる。あなたの子育て、間違っていませんか?

経済学や心理学、そして脳科学まで。今、さまざまな分野の知見を取り込みながら、教育を「科学」する試みが始まっている。

慶応義塾大学総合政策学部の中室牧子准教授は、経済学の視点から教育を研究してきた。6月に発売された著書『「学力」の経済学』は、15万部を超えるベストセラーだ。なぜ「教育経済学」が注目を集めるのか。中室准教授本人が解説する。

「個人の経験」だけでは教育の本質は見えない

慶応義塾大学准教授 中室牧子

なかむろ・まきこ●1998年慶応義塾大学卒業。米ニューヨーク市のコロンビア大学で博士号を取得。日本銀行や世界銀行での実務経験を経て、2013年から現職。(撮影:今井康一)

特集「「教育」の経済学」の他の記事を読む

「学力」の経済学
客観的なデータに基づき、教育を経済学的な手法で分析。教育にまつわるさまざまな実証実験も紹介する「学力」の経済学(ディスカヴァー・トゥエンティワン/199ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

POINT1 教育に「科学」の目を持ち込む 

経済学の一分野である労働経済学には、人間は投資によって技能や知識を高められるという考え方(人的資本理論)がある。いかに人的生産性を高めるか、その中では教育が大きなテーマになる。今では教育経済学は一つの分野として確立したといっていい。

教育に科学的根拠(エビデンス)を持ち込むのは世界的な潮流だが、日本ではまだ浸透していない。

それは政府における議論を見ても一目瞭然だ。財政や金融政策などについては、客観的事実に基づく現状分析が議論を先導している。その一方で、議論が教育再生に及んだ途端、「私の個人的な意見ではあるが」などといって、個人的な体験に基づく主観的な意見が大勢を占める。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
「教育」の経済学
欧米ではすでに常識
「グローバル化」に待った!
18歳人口減で急務だが…
[INTERVIEW] 「大学改革」に物申す
止まらぬ子どもの貧困
PART3 政策に“エビデンス"をどう生かす
小学校低学年で英語スクールは当たり前
イマドキの習い事
来年度から「義務教育学校」が誕生
世界に広がるモンテッソーリって何?
“月10万円"は格安?
待機児童解消の切り札となるか
幼児期の教育費を考える
PART2 実践編 非認知スキルの高め方
[INTERVIEW] 実験経済学のパイオニアが語る
子どもの心理を知る
学力、性格、才能…
子どもを褒める? 「勉強しろ」は効果がある?
PART1 教育を「科学」する なぜ今“教育経済学"なのか
「教育」の経済学
その子育て、間違っていませんか?
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内