共産党と公明党が今回の総選挙の勝者だ

共産党の大躍進、公明党の議席増が持つ意味

雇用不安におびえる若者をターゲットにした共産党。その戦略は成功している。昨年の参院選で共産党は、東京選挙区で当時30歳の吉良よし子氏、大阪選挙区では当時36歳の辰巳孝太郎氏を擁立し、2人とも当選させている。これまでの共産党のイメージとは異なる、ビジュアル要素を取り入れた戦略だ。

その甲斐あってか、2014年5月から7月までの「躍進月間」には5100名が新規に入党し、その3割が39歳以下だった。雇用問題で悩む若年層をうまく取り込んだ結果だろう。

ちなみに雇用に関しては、民主党も重視している政策だが、そのアピールがうまくなかった。衆院選中に「夢は正社員になること!」というCMを作成したが、これが不評だった。民主党の主眼が支持母体である連合に置かれ、一般の若者の感覚と大きくずれてしまったのがその理由だろう。

それに比べて共産党は、若者の取り込み方が非常にうまい。まずは候補者にわかりやすくキャラ付けする。

「吉良はアイドル系だけど、池内はロック系。好きなバンドはスミスだ」。共産党関係者がいち押しするのは、東京12区から出馬した池内沙織氏だ。メガネをかけ、特にはパンク風に髪を逆立てるのは、同じ年齢の吉良氏と差別化しているところか。また既婚者なので、当選後に吉良氏のように男性問題で週刊誌ネタになる心配はない。

池内氏が当選したのは、今回の衆院選で共産党が東京ブロックで3議席獲得したためだ。アンチ公明票を青木愛氏と田母神俊雄氏が奪い合ったため、2位に躍進したことも話題になった。池内氏自身の票は共産党の組織票ばかりで、太田氏の半分程度。だが今後、太田氏を脅かすことになるかもしれない。

不破元委員長が9年ぶりに街宣

共産党は、若者ばかりでなく"老人パワー"もうまく活用した。12月10日、不破哲三元共産党議長が京都市四条河原町で演説したのである。

「いてもたってもいられなくなった」。84歳の不破氏が街宣でマイクを握るのは、実に9年ぶりだ。現役時代より白髪が増え、眉も白くなった。だがその声は張りがあり、話す内容によどみがない。安倍晋三首相の歴史認識を強く批判し、高らかに自共対決を宣言。そんな不破氏を一目見ようと、5200人もの聴衆が集まったという。現場の政治にはない「本物」を、有権者は求めているのか。

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