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両国の本音は衝突回避 南シナ海での「米中対立」

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南シナ海での岩礁埋め立てをめぐり、米中間で批判の応酬が続いている。日本の報道では正面衝突の構図が強調されているが、現実とずれていないか。

米中関係は単純な対立構図では語れない。5月17日、習近平主席と会見する米国のケリー国務長官(ロイター/アフロ)

南シナ海で、再び米中の緊張が高まりつつある。きっかけは米国が、中国による南シナ海での岩礁埋め立ての実状を写真で公開したことだ。また米国は中国が埋め立てを行っている岩礁から12カイリ内の、中国が領海と見なす海域に艦船を派遣する意思も示した。これを受け、日本メディアは米中が南シナ海で“一触即発”と騒ぎ立てている。

南シナ海の空と海で緊張が高まるのと同時に、外交面での牽制合戦も激しさを増している。米国のジョン・ケリー国務長官は5月16日からの中国訪問時、南シナ海での岩礁埋め立てを話題にした。これに対し、会談相手の王毅外相は記者会見で、「わが国の主権と領土の保全を守る中国の決意は、岩のように強固で揺るぎないものだ」と反発してみせた。

続いてアシュトン・カーター米国防長官が5月27日にハワイで、中国が南シナ海で進める埋め立てを速やかに中止するよう中国に求めたことが伝わり、中国は再び強く反発した。

論戦は5月31日から6月2日までシンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)にも引き継がれ、中国から派遣された人民解放軍の孫建国副総参謀長が「中国の主権の範囲内の問題だ」と、中国がこれまで行ってきた主張を繰り返した。同時に「軍事防衛の必要を満たすため」と軍事目的であることを明言した。

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