10月27日早朝、米国はかねて予告していたとおり、米海軍のイージス艦「ラッセン」を南シナ海に派遣。中国が埋め立てを行っている人工島の12カイリ内、つまり中国がいう領海内を航行させた。
中国側も、米国が行った「航行の自由作戦」に素早く反応した。中国海軍の艦艇を同海域に派遣。米艦に対する監視、追跡、そして警告を行った。同日に会見した国防部の楊宇軍報道官は、「国家の主権と安全を守る中国軍の意志は揺るがない。われわれは必要なあらゆる措置を講じて自らの安全を守る」と警告した。
南シナ海を挟んだ米中の応酬を見るかぎり、両国が今後も緊張感を高めていくことはもはや避けがたい。日本の一部メディアが「米中開戦前夜」とはしゃぐのも無理からぬようだが、事はそれほど単純ではない。
外交部の関係者が語る。
「今回の問題についてコメントしたのは王毅外相までで、中国の本当の上層部は誰も発言していません。つまり、本件は中国では今のところ(安全保障問題ではなく)外交問題、それも外交部マターの問題でしかないということです」 中国が外国との戦争を覚悟した場合は、まず政府間の交流が途絶する。さらに中国を訪問する第三国のトップに、相手国の非難を述べる形での攻撃が始まる。1960年代後半の中ソ対立がそうであった。身近な例では、尖閣諸島の国有化以降の日中関係も同様だ。こちらは戦争とは遠かったが、中国はやはり同じような段階を踏んで怒りを表現してきた。
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