中国で株価の騰勢が続いている。上海総合指数は5000を超え、1年でほぼ2倍。2007年10月の最高値6124を抜くのは時間の問題との声も聞かれる。
実体経済が低迷する中、国民の「株頼み」は強まる一方だ。投機依存の高まりは庶民に大きな富をもたらす可能性がある反面、社会の勤労観を一変させかねない危うさをはらむ。
中国の個人投資家には大きく二つのタイプがある。一つは今回の高騰以前からの投資家。40代半ば以降が主体で、1990年代後半の住宅制度改革の恩恵を受け、若い頃に低価格で住宅を取得、それを元手に資産を形成してきた層だ。投資額が数十万元(1元は約20円)以上で、今回の高騰で潤っている。借金でなく自己資金での投資が主だ。
第2のタイプは昨年以降に参入した新しい投資家層だ。20~30代が中心で、若い労働者や大学生なども含まれる。女性の比率も高い。経済の急成長や不動産高騰には乗り遅れ、住宅ローンを抱えるなど資金に余裕は乏しいが、それだけに株への期待は強く、借金で投資している例も多い。学生投資家の増加も顕著で、ある調査では大学生の31%が株式投資を行っているという。「もう働くのは嫌」 早々とリタイア 中国の個人投資家はいったいどのくらい儲けているのか。具体的なデータはないが、この1年はほぼ一直線で上昇しているため、現時点では程度の差はあれ大半が利益を出しているとみられる。特に最近投資を始めた層は株の素人が大半で、著名人のブログなどを参考に深い分析なく「他人が買うものを買う」傾向が強い。それが好結果を生み、多くが利益を得ているとの見方もある。
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