中国の不動産バブルが大都市限定で過熱している。対照的に地方都市では不良在庫が積み上がったまま。長年蓄積された構造矛盾が深刻化している。
大都市の不動産価格高騰に政府が力ずくの抑制策を取り始めた。投機の場と化した不動産市場に株の二の舞いを危ぶむ声は強い。
大都市の不動産価格が上昇を始めたのは約1年前の2015年3月。景気の腰折れを危惧した政府が不動産取引の活発化を狙い、マンション取得時に必要な頭金比率の引き下げなどの措置を取った。これを機に上海や深圳、北京、広州など沿海部大都市の不動産価格は急上昇、特に深圳では1年で50%以上、上海でも二十数%値上がりした。
さらに政府は16年2月、主に地方都市の不動産在庫の処理を念頭に、不動産契約税や不動産会社の営業税の優遇措置など追加の促進策を実行に移した。これをきっかけに大都市では「理性を失った」(政府住宅部門の高官)マンション投機が発生、上海では新築物件の発売に前夜から行列ができ、あっという間に売り切れるという光景が現出した。
当然、価格は急上昇。一昨年11月、知人が370万元(1元は約17元)で買った上海市西郊の新築マンションは、昨年末には430万元に上がり、つい先日「550万元で買いたい」との話があったという。まさに異常事態だろう。
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