中国ではメディア統制が未曾有の厳しさで進められている。習近平政権は経済ではイノベーション重視を掲げるが、2つの政策は根本的に矛盾する。

2月19日にCCTVを視察する習近平国家主席。この日は新華社と人民日報も訪問した(新華社/アフロ)
中国共産党によるメディア統制がかつてないレベルで強まっている。その方向性を決定づけたのが、2月19日に行われた習近平国家主席によるCCTV(中央テレビ)など国営メディアの視察だった。
その際に習氏は、これらのメディアは共産党と一心同体であるべきだという訓示を行い、各メディアも絶対の忠誠を誓う姿勢を表明したという。しかし、この訓示はメディア全般に対する締め付け強化を意味するものだとして、メディア関係者やリベラルな言論人の反発を招いた。
翌20日には、広東省の南方都市報が習氏の訓示をそのまま伝えるように見せかけながら、他の記事の見出しと組み合わせることによって「メディアの魂は海に帰る」つまり、政府の統制によってメディアの魂は死ぬ、というメッセ―ジが浮かび上がるように一面の紙面を組み、事実上の党への批判だとして話題になった。紙面作りを担当した女性編集者は後に「紙面に重大な欠陥をもたらした」として解雇された。
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