旧来型産業での大リストラが不可避な中国で、社会不安への懸念が高まっている。問題解決の切り札は、習近平総書記に権力を集中させる仕組みだ。
中国社会が緊迫している。3月16日に閉幕した全国人民代表大会(全人代)をめぐる報道では、「維穏」(社会の安定維持)という言葉が久々に復活した。
きっかけは全人代開幕直後の陸昊・黒竜江省長の失言だった。会見の場で地元の石炭企業について、「給与遅配は1カ月もない」と胸を張ったが、実際は1カ月どころか半年以上も遅配が続いているところもあり、発言を聞いた炭鉱労働者たちが激怒。早速大きな抗議行動が起きた。しかも参加者が動画を撮影してネットにアップしたため騒ぎは一気に拡大。山西省、内モンゴル自治区などを中心に各地方が対応に追われる事態となった。
陸省長が謝罪会見を開き、「虚偽の報告を受けた」と釈明して一段落したかのようだったが、水面下では問題を北京に波及させないため必死の努力が重ねられた。動画を削除する一方で高速道路の24時間監視の強化、北京市外から第6環状線以内へのトラックの進入禁止、さらには炭鉱を抱える省から急きょ公安局長や陳情に対応する信訪局長をトップとしたチームを北京に呼びつけるという動きが見られた。
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