中国では不良債権の増加とその処理が重要課題に。市場を通じた不良債権処理で国有企業改革が進むかどうかは、今後の中国の成長率を左右しそうだ。
ゾンビ企業と呼ばれる非効率な国有企業のリストラに注目が集まる中、中国の不良債権処理が本格的に動き始めそうだ。中国の銀行業監督管理委員会(銀監会)が公表した数値によると、金融機関の不良債権は2015年末で1兆2744億元(1元=約17円)になる。
商業銀行全体の不良債権比率はまだ1.6%前後と先進国の水準と比べてもかなり低いが、不良債権の分類基準があいまいだという指摘があるうえ、ここ数年は経済成長の鈍化を反映し一貫して上昇を続けており、警戒が必要だという声は強い。
金融機関以外の民間企業の債務残高がGDP(国内総生産)比で160%に達するなど、経済全体が債務過剰の状態に陥っていることも、今後不良債権が拡大していくことの潜在的なリスクを高めている。
このような状況を踏まえ、3月24日、海南省のリゾート地・博鰲(ボアオ)で開催されたアジアフォーラムの基調講演で、李克強首相は「市場化にのっとった方法で不良債権処理を進めていく」と言明した。また、地方の中小規模の銀行が、来るべき不良債権処理に備えて自己資本の増強を行うため、相次いで上場を検討しているとも伝えられる。
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