中国ではインターネット経由で海外企業の商品を消費者が直接購入する「越境EC」が大人気。だが、その根底を揺るがす政策がいきなり実施された。
中国で、大人気となっている日本製の紙おむつが急に入手しにくくなっている。4月8日から、国際的な電子商取引(越境EC)に関連する税制が改変されたためだ。個人による海外での買い物にかけられる「行郵税」も見直された。こうしたルートで中国に持ち込まれていた日本製紙おむつの供給はたちまち細った。
2014年に中国の海外渡航者は1億人を超えた。海外に出掛けた中国人は現地の物価の安さに驚いた。そこで、海外で買った商品を国内で転売するビジネスが急に育ってきた。さらに海外へインターネット経由で注文する越境ECが拡大した。関税を払っても国内の商品より安く、かつ品質もよいためだ。
こうした事態を前に税務当局は知恵を絞った。個人輸入にいちいち課税していては税関での作業が煩雑を極めることになる。そこで、個人輸入より企業による越境ECが増えるような政策を採ったのだ。企業からなら、税金は取りやすい。
具体的には、輸入品をいったん保税区(関税を留保して輸入品を保管できる地域)の倉庫に入れ、そこから一般消費者に販売するという枠組みを用意した。普通の輸入の場合は関税に加えて「増値税」(消費税に相当)が課せられるが、個人使用目的であれば、10〜50%の行郵税だけでよい。ほとんどの場合、越境ECを使ったほうが消費者は安く買える。それも税額が50元以下であれば免税となる。税率10%の商品の場合は、輸入額が500元(約8500円)までなら無税ということだ。
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