上海株式市場の状況からすると仕方ない気もするが、それにしても日本のマスコミの「中国崩壊論」一点張りには食傷ぎみになる。
昨年7月に本欄で、中国の銀行による新発の地方債の引き受け再開は、政府が地方政府の不良債務処理に取り組み始めたことを意味する、と書いた。年末に雲南省、湖南省、湖北省、山西省など中国の内陸部を訪れ、そこでの見聞から見立てに間違いがなかったとの感を強くした。
現在中国では全土で高速鉄道網が整備されている。前鉄道部長の汚職事件によりそのスピードは鈍ったが、こんな所にまでと驚くような広がりだ。鉄道だけではない。道路網、空港など交通インフラの建設が驚くほど進んでいるため、省と省との時間距離がかなり短くなった気がする。
経済が減速しているのに、どこにそんなカネがあるのか? 当然の疑問だ。
地元の関係者に聞いてびっくりした。なんと「カネが余っている」というのだ。地方債発行が順調に動きだすと、それまで融資を渋っていた地元の金融機関は手のひらを返したように地方政府の融資平台(プラットフォーム)への融資を再開した。ある金融機関幹部は「中央政府が地方政府を支援する方向性がハッキリしたからだ」ときっぱり。
経済減速の影響もある。融資案件が減少し、金融機関にカネが滞留している。従来の国有企業向け融資には限界があり、いきおい資金が地方政府に向かっている。
バブル処理には着手へ
雲南の昆明、湖南の長沙、湖北の武漢、山西の太原はすべて省都であるが、主要駅前には1980年代の香りが残る町並みがあり、発展から取り残されているという印象を受ける。これが郊外に行くと一変する。
こうした大都市では地下鉄が建設されていて、たとえば武漢ではすでに3路線が運行している。路線が増えることによって「町が広がる=住宅ができる」という構図があり、高層マンションの建設現場をいくつも見ることができる。「上がることはないが、下がることもない」価格水準で取引されており、まだまだ需要はあるという。ほかの大都市も似たり寄ったりだ。
驚くべきは、もっと田舎でもマンション建設が盛んなことだ。明らかにバブルである。事実、湖南省のとある田舎のマンションは価格が低く、買い手も少ない。
地方のバブルを中央政府はどうするつもりなのか。ある専門家は次のように見る。「高速鉄道など公共性の強いプロジェクトは支援するが、マンション建設などを支援することはない」。現状、省都レベルの不動産価格は上昇の余地が小さく、省都よりも規模の小さい都市は危険だという。
実際、中央政府は2016年に銀行を含む国有企業の処理に着手すると話す中国人研究者もいる。ただ、処理を一気に進めればバブル破裂が避けられないため、中央政府がそこまでする可能性は低い。必要性は認めるが無理はしないで、軟着陸を目指すことになるだろう。(東えびす)






















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