習近平主席が進める解放軍改革は軍へのグリップの強さを示すが、不自然な点も多く残る。そこからのぞくのは、党と軍との信頼関係の危うさだ。

2月1日、北京での戦区成立大会で軍旗を授与する習主席。戦区の詳細発表は当初予定より遅れた(新華社/アフロ)
2月1日、中国国防部は中国人民解放軍の「戦区」成立大会がこの日に行われたと発表した。
これまでの「7大軍区」に代わって、解放軍をより大ぐくりな「戦区」に分けるというものだ。もともとは2015年中に発表されるといわれていたが、だいぶずれ込んだ。しかも東西南北の4戦区に分けるといわれていたのが、ふたを開けると中部戦区を加えた五つになっていた。
中部戦区を加えたのは、指揮中枢を置く北京を共産党中央軍事委員会が掌握しやすいようにしたためだ。党中央は、改編後の戦区も信用していないのである。
地理的な区分けにも不自然さが残る。中国の報道によれば、北部戦区は、黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区および山東省から成る。このうち、山東省だけが飛び地なのだ。
効率よりも反乱対策 監視役を各戦区に配置
北京市、河北省、山西省、河南省および陝西省から成る中部戦区を新設した結果、北部戦区が分断されたものと思われる。そこまでして中部戦区を加えたのは、軍事作戦の効率よりも軍による反乱の抑止を優先したということだろう。
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