中国では海外移民を真剣に考える富裕層が増えている。経済の先行き不安に加え政治統制の強化も懸念される。欧米や豪州が人気だが本命は日本だ。
中国では海外移民に対する富裕層の関心が急速に高まっている。国内景気の先行き不安や政府の「思想的締め付け」の強化、人民元の切り下げへの懸念などがその背景にある。
先頃発表された「中国国際移民報告2015」に興味深いデータがある。中国で最も使われている検索サイト「百度(バイドゥ)」が公表する「百度指数」(あるワードの注目度をビッグデータ解析で指数化したもの)によると、「移民」は2014年末頃までの数年間、6000ポイント前後で横ばいが続いてきた。しかし15年に入ると上昇を始め、株価が急落した同年夏には4万ポイントと半年余りで6〜7倍に達した。過去1年ほどの間に「移民」に対する社会の関心が急速に高まったのは間違いない。
同報告書によると、14年の中国からの海外移民は年間約15万人で、内訳は大洋州(豪州、ニュージーランド)35.3%、次いで北米(米国、カナダ)25.7%、欧州22.5%と続く。この3地域で全体の8割以上を占める。近年、顕著に伸びているのが米国およびポルトガル、スペイン、ギリシャなどの南欧諸国。米国では14年(財務年度)の中国人投資移民は9128人と対前年比46%増で、投資移民全体の85%以上を占める。またポルトガルは投資移民制度を導入した12年末以来、16年1月までに2853人に居住権を認めたが、うち79%が中国人だった。
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