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過大に受け取るべからず 南シナ海「軍事拠点化」を

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中国がベトナムと係争中の西沙諸島に地対空ミサイルなどを設置したと報じられた。「軍事拠点化しない」という習主席の約束は反故にされたのか。

ミサイル設置が報じられた永興島(ウッディー島)はベトナムとの紛争を経て中国が実効支配している(写真:imaginechina/時事通信フォト)

2月17日、米テレビ局フォックスニュースは、「中国が南シナ海の西沙諸島(パラセル諸島)の永興島(ウッディー島)に兵器を配備している」と報じ、西側メディアを中心に大きな騒ぎとなった。

フォックスニュースによれば、中国が同島に配備したのは最新型の地対空ミサイル「紅旗9」。ミサイルの発射装置8基やレーダーシステムも写真から確認されたという。

習近平国家主席は訪米した昨秋、オバマ大統領に直接「南シナ海を軍事拠点化するつもりはない」と伝えていた。報道が中国の意図を疑う論調で染まるのも無理はない。

だが、記者たちの質問攻めに遭う中国外交部(外務省に相当)の対応は要領を得なかった。2013年に中国海軍の艦艇が日本の護衛艦にレーダー照射した際や、同年に中国が東シナ海で防空識別圏を設定したときの「情報過疎」の再演だった。

当初は王毅外相自ら「西側メディアがニュースをでっち上げたのだと思う」と語っていたのを、翌日に「西沙諸島は中国固有の領土だ。島の防衛施設には数十年の歴史があり、(ミサイル配備は)新たな動きでも軍事拠点化でもない」と言い直さなければならないほどの迷走ぶりだった。

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