富士フイルムが攻めの経営で体質一新、ドル箱失墜からの復活[上]《新「本業」で稼ぐ》

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 しかし同社は“3大コア事業の消失”という厳しい現実から目を背けず、生き延びる道を探った。10年、写真フィルムの市場規模は10年前の10分の1以下まで落ち込んだ(下図)が、富士フイルムの業績は売上高2兆3000億円、営業益1630億円(11年3月期、本誌予想)。01年に連結対象となった富士ゼロックス事業を除いても、10年前と遜色ない。

「このままじゃ、ジリ貧で会社がもたない。改革しなければ」──。

古森社長が変革の声を上げたのは、写真フィルム総需要が前年比で一気に25%も下落した04年。03年、CEO(最高経営責任者)に就任した古森社長の下、改革に踏み出した。

全盛期に拡大した世界160カ国以上の販売網が、巨大なコストとなってのしかかっていた。05~06年にかけ、現像所統廃合などで写真事業に携わる人員を約5000人減らした。改革後の08年3月期は創業来の最高益を達成した。

だが08年秋、世界同時不況で需要水準は再び急落。計画の15%しか注文が来ない部門も出た。「売り上げが(ピーク時の)7~8割に落ち込んでも10%の利益は出せるようにならなければならない」(古森社長)という前提に立てば、落とせる“ぜい肉”はまだあった。

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