『NARUTO』で考える、「努力よりも才能」? 『少年ジャンプ』における「努力」の系譜

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そして、とうとう、スパーサイヤ人が生まれた。努力によって覚醒したとしても、結局、それは生得的なものに支えられている。物語の後半、天津飯は、クリリンは、なぜ活躍できないのか。結局、才能なのかという歯がゆい思いは捨てきれない。

努力は眠れる願望である

少年マンガのメッセージは、努力に対する前向きさや明るい未来見通しを全肯定することであった。マンガの中で努力することは丁寧に描かれた。しかし現在、努力は才能へ、前向きは滑稽さへ、明るさは暗さへと移行した。結局、生まれ持ったものがすべてならば、すべてを諦めるか、サトリつつも戦い続けるしかない。

では、現在、努力の価値は完全になくなってしまったのか。

実は、ガイ先生の父親も、忍術・幻術が使えないノン・エリート忍者であった。嘲りをあえて応援と考え、不利な条件をあえて成長のチャンスと考えるガイ先生の前向きの努力論=青春論は、父親の教えであったのだ。

そんなガイ先生も、少年時代に父の前向きさを一度疑ってしまったことがある。パパは強がっているのではないか、と。迷いの中、ガイ少年は父をバカにした大人に喧嘩を挑む。「なぜあんなことをした!?」という父の問いに少年ガイ君は、泣きながら答えた。

「パパの言う青春を…守りぬきたかったんだ!!」

 

(C)岸本斉史 スコット/集英社

「青春=努力」の価値を信じたいというこの叫びは、我々の心の叫びではないか。努力を嗤う我々の心の中に、我々の眠る本音がある。マダラが、「このチャクラ…!認めてやろう!体術において……オレの戦った者でお前の右に出る者は一人としておらん!!」と叫んだ時、私はなぜか自分のことのように誇らしかった。

どんなに嗤われようとも、我々の努力への期待が失われることはない。

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