iPhoneとファナック結ぶ点と線


 現在、普及が進むスマートフォンも、工場で加工するには、高精度を誇る日本製の工作機械が必須。その代表例こそ、ファナックが今回異例の大増産に踏み切るロボドリルなのだ。ファナック自身は明らかにしないが、「ファナック→EMS→iPhone」という、一連の図式が見て取れる。台湾系EMSがファナックにロボドリルを発注し、EMSはアジアの工場でiPhoneを生産、世界中の消費者へ販売されるというわけだ。

ファナック大躍進の立役者であるロボドリルは、もともとは1990年代に開発した工作機械。金型などをつくる小型マシニングセンタの一種だった。が、iPhone向けでは、これがさらに進化。EMSの工場においては金型を使わずに、iPhoneの筐体を直接削って、ピカピカの曲面をつくり上げている。

NC=頭脳を握る強み 高成長に死角はあるか

このロボドリルに不可欠なのがNCの存在だ。NCとは工作機械の“頭脳部分”で、パソコンでいえばOS(基本ソフト)に当たる。NCをファナックは日本で初めて開発した。競合他社にも供給し、日本で生産される工作機械の過半はファナック製NCが搭載されるほどのデファクトスタンダード。その技術力を武器に、受注先も主力の自動車や建設機械から、ここ数年ではIT向けへと、対象領域を拡げてきた。

11月初旬まで開かれた工作機械の見本市で、ファナックはブースを派手な黄色で統一。黄色いジャケットを着て、ロボドリルを説明する研究員を、多くのライバル企業の社員が取り囲んだ。中堅メーカーの一人は「(筑波工場の)増産はすごいですよね」と舌を巻いた。

もっとも、無敵のように見えるファナックにも死角がないわけではない。技術は古いが低価格で追い上げる中国勢の勢いは強烈。82年以来、日本が27年間守った生産額世界1位の座は09年、中国に奪われた。

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