武器輸出に資金援助制度を創設? 防衛省が新制度創設を検討へ

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シャングリラの公約

日本は4月に武器の禁輸政策を見直し、一定の条件を満たせば輸出を許可する防衛装備移転三原則を導入した。5月の東アジア安全保障会議(シャングリラ対話)で講演した安倍晋三首相は、南シナ海をめぐって中国と緊張状態にある東南アジア諸国連合(ASEAN)の海洋安全保障を支援することを約束した。

しかし、それ以降に決まったASEAN向けの協力は、ODAを使ってベトナムの海上警察、漁業監視部隊という非軍事部門に船舶を無償供与する案件のみ。官民の一行が需要を探りにマレーシアへ飛んだほか、ASEAN各国を日本に呼んで装備品の展示会を開催、掃海艇の造船所に案内するなどしているが、軍隊向けの武器輸出は具体化しそうな案件がまだない。

防衛省はODAで許されていない軍事支援向けの資金援助や、需要の発掘、修繕・管理の協力体制を整えることで、装備品の輸出を促進したい考え。「三原則の見直しで審査プロセスは整ったが、積極的に武器移転を進めるような制度が構築できているわけではない」と、関係者は話す。「新たな三原則が生きるかどうかは、今後の政策次第だ」と語る。

一方で、実現には財務省や経済産業省、外務省など関係省庁との調整のほか、武器輸出拡大への反発が予想される世論の説得が必要になる。関係者は「この仕組みは必要だ、そうみんなに理解してもらえるようにしないといけない」と話す。

防衛省の報道官はロイターの取材に対し、「防衛装備移転についてはさまざまな検討をしているが、何も決まっていない」としている。

 

(久保信博、ティム・ケリー 編集:北松克朗※)

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