就活、売り手市場でも油断できない理由 「後ろ倒し」だが実質的な選考はもう始まっている!

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今年は1日のみの「ワンデーインターンシップ」が多くの企業に広がっている。これまでインターンシップを開催したことのない企業にとっては、1~2週間、各職場に学生を受け入れるノウハウはなく、取り組みやすい。

ただこれは、実質的な会社説明会になっている。経団連の上記指針では3月まで説明会を開催できず、これをかわす「隠れみの」にして、できるだけ早く自社に親しんでもらおうとするわけだ。

さらに今年になって増えているのが、インターン参加者のためのフォローイベント。実際のインターンの数カ月後に、会社についてより深く理解してもらうために開催するイベントだ。こうして企業は、自社の求人に関心を持つ学生を集める動きを、すでに本格化させている。学生側としては志望企業が投げる網に引っかかるよう、今すぐ動き始めなければならない。

8月選考開始企業は戦々恐々

8月に選考を開始する大企業は、今から戦々恐々だ。というのも、選考開始が8月に繰り下がっても、大半の企業は従来どおり10月1日に内定式を行うからだ。つまりこれまで4~10月と6カ月あった選考期間が、わずか2カ月に短縮される。企業はその期間で、採用計画人数を満たさなければならない。他社に先駆けて優秀な人材を採ろうと思えば、スタートダッシュがカギになる。

「来年は『内々定の打診』という言葉が出てくる」と話すのは、文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の平野恵子研究員。簡単に言えば「8月になったら内々定を出す」と約束すること。正式な選考開始前に、リクルーター面談などで実質的な選考を行い、7月末頃までには内々定を出す学生を人事部が決めてしまうのだ。

もっとも、経団連非加盟の大企業や、中堅・中小企業は、一定数が8月以前、早ければ4月から選考を行い、内々定を出すとみられている。“すべり止め”ともいえる内々定を持って、8月の大企業の選考に臨む学生も増えることだろう。

週刊東洋経済2014年11月25日発売号の特集は「就活 先手必勝」です。選考時期が大幅に“後ろ倒し”される、2016年卒の就活は売り手市場でも油断禁物。万全の準備をどうすべきかを追いました。

こうした企業の動きからいえることは、学生が経団連の指針通りに動き始めたとしても、採用の大波に乗り遅れる可能性が高いということ。早くから開くイベントで、企業は有望な学生を探している。内々定の席は、徐々に埋まっていくのだ。8月に近づいたタイミングで初めて説明会に出席し、そこからエントリーシートを提出していたら、わずかに残った席を大人数で争うことになってしまう。そうならないためにも、早め早めの動きが不可欠だといえる。

今の時期から冬にかけては、これから多くのインターンシップや業界・仕事研究のイベントが開かれる。企業と接触しておくという意味合いもあるが、それだけ将来の仕事について考える機会が与えられているのだ。「あれもこれもしなくちゃならないのか」と考えるのではなく、「こんな仕事をしている人に話を聞きたい」「あの会社をインターンでのぞいてみたい」という好奇心を持って活動すれば、楽しく、意義のある就活になるはずだ。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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