インフレ目標2%時代の「最強」家計防衛術 リスクは取りたくないけど、損もしたくない!

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しかし、利回りだけをポイントにして銘柄を判断することは避けてください。投資対象の高い利回りがどのような理屈、ロジックで払い出されているのか、その構造を正しく理解することが安定・高利回りを実現するための第一歩です。

たとえば、購入する国債や社債の満期、銘柄選定によりリスクは異なること。不動産に投資するREITには、一等地のビルからビジネスホテルまで多くの種類があり、その特性により価格変動は異なること。さらに、日々移り変わる経済情勢の変化が家計や財布に直結するので、経済全体の流れを常にチェックし続けることも重要です。

債券ETFや米国REITは日本のネット証券各社でも取り扱っています。NISA(少額投資非課税制度)の対象にもなっているので少額をコツコツ積み立てるタイプの投資に最適です。

③「投資信託よりETFを買うべき」の意味がわからなければ投資はするな

しかし、誰にでも不動産、ETF、REITなどを対象とするインカムゲイン投資をオススメするわけではありません。バブル期やサブプライム危機の際に明らかになったように、投資はギャンブルに近い性質をもつ面があります。安易に手を出すと思わぬケガをすることもあるのです。

インカムゲイン投資については玉川氏の著書『インカムゲイン投資の教科書』(日本実業出版社)にも詳しい

また、不動産会社や銀行、証券会社は、知識のないお客からは容赦なく高額な手数料を徴収するのが業界の常識です。

たとえば、銀行の窓口で販売されている投資信託とネット証券で購入できるETFの中身はまったく同じものです。それにもかかわらず銀行窓口で買う投資信託には非常に高額な手数料が設定されているのです。つまり、「投資信託よりETFを買うべき」といった言葉の意味を理解できないのであれば、投資に手を出すのは時期尚早です。

もし、このような初歩的な投資の知識を持ち合わせていないのであれば、まず、投資で損をしないための金融リテラシを十分に身につけてからスタートするのがもっとも大切なことです。

■まとめ
・「インフレ目標2%」は、私たちが思っているような心地よい物価上昇が来るとは限らず公共料金の値上がりが主体となる「面白くないインフレ」となる可能性も
・物価上昇局面で家計を守るには、不動産投資とインカムゲイン投資で副収入をつくること
・インフレ率よりも不動産価格の上昇率は高い。インフレ局面では不動産が有効
・外貨預金や下手な投資信託で高い手数料を払うよりも、NISAを活用してETFとREITで安定・高利回りのインカムゲイン投資を
・投資信託とETFの違いが分からないうちは投資をはじめるな。先に十分な金融リテラシを身につけよう

 

玉川 陽介 コアプラス・アンド・アーキテクチャーズ代表取締役

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たまがわ ようすけ / Tamagawa Yosuke

1978年神奈川県生まれ。学習院大学卒業。コアプラス・アンド・アーキテクチャーズ株式会社代表取締役。大学在学中に統計データ処理受託の会社を設立。同社を毎年増収増益で成長させ、2006年に売却。その資金で本格的に投資を始める。その後、国内外で不動産投資と証券投資を幅広く行う。自らの投資収益を主たる収益源としながら、経済誌への記事執筆も行っている。過去に学習院さくらアカデミー講師ほか金融経済の講演を開催。『不動産投資一年目の教科書』(東洋経済新報社)をはじめ、金融商品分析や不動産投資に関する著書は計14万部を超えるロングセラーとなる。近著に『Excelでできる 不動産投資「資産管理」のすべて』(技術評論社)

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