品川駅西口「京急の顔」再開発で何が変わるのか 高さ155m、新「フラッグシップビル」の勝算は?

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今後、大きく変わるのは駅周辺の街並みばかりでない。現在、品川駅の東西は地上の在来線や新幹線をまたぐように自由通路で結ばれているが、2階部分に京急の駅があるため、通り抜けるには階段を上り下りする必要がある。

国道15号の横断歩道は混雑しやすい。右奥が「C地区」(記者撮影)

さらに西口は駅前広場としての空間が狭く、国道15号を渡る横断歩道が混雑しやすい。道路も駅の南側の八ツ山橋付近で京急線と交差する踏切が渋滞の原因となっている。

これらを解消するため、品川駅を中心に京急線の1.7kmにわたる区間で大掛かりな連続立体交差事業が官民連携で計画されている。京急品川駅のホームはJRと同じ1階部分にそろえて「地平化」する。

ホームは現在の2面3線から2面4線に増え、羽田空港第1・第2ターミナル駅の引き上げ線工事と併せ、1時間に片道3本程度の列車増発が可能になる見込みだ。反対に、1駅“南”にある北品川駅はホームを高架とし、3カ所の踏切を除却する。

好立地だがライバルも多い

東西自由通路については、国道をまたぐように西口エリアへ歩行者デッキを広げることで、徒歩での移動利便性を向上させる。国道上空のデッキには自動運転などの「次世代型交通ターミナル」や、商業施設を整備する計画がある。

閉館したシナガワグースから見た品川駅=2021年10月 (記者撮影)

新幹線とリニアの駅に空港アクセスの利便性、トヨタという強力なパートナーも得た京急だが、楽観してばかりはいられない。2020年3月に品川駅の北に山手線・京浜東北線の新駅、高輪ゲートウェイ駅が開業した。JR東日本は周辺で巨大な「品川開発プロジェクト」を進めており、2024年度という近い将来に第Ⅰ期の「街びらき」が迫る。“街の重心”が現在より北側に移動する可能性がある。

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東京都心では、東急などが手がける渋谷や、小田急電鉄などによる新宿といった、主要ターミナル周辺だけをみても、大規模なプロジェクトが進行中だ。交通の利便性で優位に立つ品川。首都・東京の玄関口として、ライバル同士で切磋琢磨しながら人や企業を呼び込み沿線活性化につなげられるか。これから正念場を迎えようとしている。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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