賃金が上がらないのに「値上げ」日本の絶望未来 コロナ禍におけるインフレは格差拡大を加速

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いまだに終わりのみえないコロナ禍において、進行するインフレは格差拡大を加速させたと考えている。その理由を総務省のデータからみてみよう。

総務省は家計調査の中で支出を「基礎的支出」と「選択的支出」の2つに分類している。分類の定義は消費支出が1%増加した際の各品目の支出の伸び率(支出弾力性)が1未満であれば基礎的支出、1以上であれば選択的支出項目というものだ。少し難しいと思うので、もう少しくだけた表現を使えば、基礎的支出は生活必需品、選択的支出は奢侈品(ぜいたく品)と置き換えてもよいだろう。

総務省が発表している消費者物価指数では、この2つの品目の物価データも取得可能なので、グラフにしたものが下図だ。

(画像:『スタグフレーションの時代』)

2021年から生活必需品の価格が上昇

2021年から生活必需品の価格が上昇しているのがわかるだろう。ぜいたく品は高ければ買い控えても生活に影響はないが、生活必需品は価格が上昇したからといって買わないという選択ができない。

分析対象として重なる部分もあると考えるが、総務省が発表している購入頻度別品目の物価推移をグラフにしたものが下図だ。

(画像:『スタグフレーションの時代』)

頻繁に購入するものは生活必需品と重なっている品目が多いと推察するが、頻繁に購入するということは、それだけ値上げを実感する回数が多いということだ。

生活必需品の価格が上昇すると、低所得者ほどその影響を受ける。総務省が発表している家計調査において、消費支出に占める生活必需品の割合を年収別に表したものが下図だ。

(画像:『スタグフレーションの時代』)
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