総額2200億円!中国人旅行者の”爆買い” 旅行消費額の半分は「買物代」

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中国からの旅行客は家電量販店などで電気製品をまとめ買いし、帰国後に親戚や知人らに配ったりもするという。観光局のアンケート調査をみても、中国人が日本滞在中に購入した商品の中で、『最も満足したもの』として、14%といちばん割合が高いのが電気製品となっている(「服・かばん・靴」は10%、「化粧品・香水」は9.4%)。

銀座や秋葉原、お台場などに総合免税店を構えるラオックスでは、年間70カ国以上の外国人が訪れており、全体の5割強が中国人だという(関連記事「ラオックスはいまや外国人でいっぱい」)。同社の羅怡文社長は10月初め、「今年は中国の人が200万人ほど訪れる」との見通しを示していたが、10月までの累計ですでに201万人。このペースでいけば年間250万人前後まで増えそうだ。

中国人をはじめとする観光客の増加を享受し、ラオックスは2014年12月期の業績見通しを8月と直近11月12日に2度上方修正した。国内免税店事業が好調で、前期から売上高は100億円以上増え、赤字から脱却して13.5億円の営業黒字を計上する見通しだ。

観光客需要の奪い合い?

日本百貨店協会の統計によれば、免税制度改正と中国の国慶節休暇が重なったことから、10月の訪日外国人向けの売上高、客数とも前年同月比で2倍以上に拡大。売上高86億円は単月ベースで過去最高となった。ほかにも、シューズやドラッグストアなど、旅行客の購買力はさまざまなところに及んでいる(関連記事「高額商品だけじゃない中国人の”爆発消費”」)。

日本政府観光局では中国からの訪日について、「10月1日から開始された新たな免税制度について、一般消費者や旅行会社への情報発信を行っており、訪日意欲、購買意欲の拡大に繫がることが期待される」としている。1月から9月までの累計で中国の旅行消費額は4160億円と前年同期の約2倍。このうち約2200億円が買物代だ。

一方、全体の旅行消費額の累計は1.46兆円と、3カ月を残して13年の1.41兆円をすでに超えている。ここに中国人の”爆発消費”が大きく貢献しているわけだ。訪日外国人の中でも突出した中国の購買意欲はもとより、客数増加で右肩上がりの旅行客の消費をどう取り込むのか。小売り各社の観光客争奪戦がいっそう熱を帯びそうだ。

井下 健悟 東洋経済 記者

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いのした けんご / Kengo Inoshita

食品、自動車、通信、電力、金融業界の業界担当、東洋経済オンライン編集部、週刊東洋経済編集部などを経て、2023年4月より東洋経済オンライン編集長。

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