20万円から3500円に活動費減!「PTA広報誌」廃止のメリットがすごい 組織刷新、ICT化を進める鴻巣中央小学校の場合

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清水氏は今後、PTA活動に限らず、日常の学校と保護者の連絡もデータでのやり取りに移行していきたいという。「2022年度からファイル添付も可能な連絡アプリが導入されるので、紙の連絡はかなり少なくできます。保護者アンケートなどもMicrosoft Formsをフル活用し、手間とミスの削減を図りたい」(清水氏)。

実は筆者もこの1年間、PTA活動で取りまとめ役を務めたが、円滑な進行を阻む最大の壁が「学校とのやり取り」だった。学校は代表メールを毎日確認する体制がなく、データの受け渡しもCD-Rを指定されたので、電話や訪問の回数を減らせず保護者は疲弊した。だから、鴻巣中央小の連絡のICT化やクラウド活用への前向きな姿勢がうらやましい。

また、保護者同士の作業は無料のチャットやクラウドのサービスを駆使して効率化できたが、「あらかじめ、メール、チャット、クラウドをワンストップで誰もが簡単に利用できるPTA用の交流基盤があればいいのに」と思った。保護者も教員も負担が減るはずだ。

これはおそらく保護者だけのニーズではない。東洋経済が保護者と教員1200人を対象に行ったPTAに関する調査(資料ダウンロードはこちら)では、PTAの運営アイデアに関してICTを活用したやり取りを求める声が教員にも多く見られた。

実際にオンラインの交流基盤を構築するPTA役員も出てきてはいるが、保護者としては学校や教育委員会のほうで支援してもらえるとありがたい。しかし現状、教育ICT基盤をフルクラウド化した鴻巣市でも、そのあたりの整備は難しいという。

「例えば、保護者用のアカウントも子どもとセットで作ることができれば、クラウドを活用したPTA活動はもちろん、連絡帳をなくすなどの効率化もできます。しかし、需要は高いものの、本市ではアカウントの規約上、やるとすれば保護者用のライセンスを有償で別途契約する必要があり、コスト面で難しい。事業者側がこうしたニーズを把握し、保護者アカウントの作成が許容されるようになることを期待しています」(鴻巣市教育委員会教育総務課主任の新井亮裕氏)

「子どものため」にPTAを存続させるなら、子どもたちを支える教員と保護者がまず笑顔で活動できる体制が前提であるべきだ。そのためにも鴻巣中央小のように、可能な限り「組織や業務の見直し」と「ICT化」を両輪で行うことが必須ではないだろうか。事業者にも知恵や協力を求めたい。

(文:編集部 佐藤ちひろ、注記のない写真:Graphs/PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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