20万円から3500円に活動費減!「PTA広報誌」廃止のメリットがすごい 組織刷新、ICT化を進める鴻巣中央小学校の場合

「打ち合わせの基本はメール」で活動負担を軽減
2021年度に教育 ICT 基盤をフルクラウド化した埼玉県鴻巣市。市内の全小中学校で、児童生徒と教職員の「1人1台端末」の活用が進んでいる。
同市立鴻巣中央小学校(以下、鴻巣中央小)も、整備されたICT環境を活用し、授業と家庭学習の連携や教員のワーク・ライフ・バランスの向上に取り組んでいる。コロナ禍では、入学式や卒業式、保護者参観などのライブ配信も行った。さらに今、PTA活動についてもICT化を進めているという。
例えば、役員を担う保護者との連絡や打ち合わせは、これまで保護者に来校してもらうことが多かったが、原則メールで行うよう切り替えた。保護者が作成した印刷物の修正なども、メールでデータをやり取りして確認している。
「本市の教員は全員、21年度から外部との連絡も可能なメールアドレスを付与されています。そのおかげで、本校ではPTA活動に関わる教員は、自分のアドレスで役員の方々と直接やり取りができます」と、校長の清水励氏は説明する。

鴻巣市立鴻巣中央小学校 校長
高等学校教員(保健体育)や民間企業を経験後に、小学校教員となる。上尾市、鴻巣市(旧吹上町含む)の小学校、県立総合教育センター(情報教育推進担当・企画調整担当)勤務を経て、2018年4月より現職
(写真:鴻巣市立鴻巣中央小学校提供)
保護者と連絡できるメールは代表メールしかない、という学校は多いだろう。そういった学校では、「PTA担当の教員が毎日メールをチェックしないので、『メールを送りました』と電話しなければならない」と不満を漏らす保護者もいる。
多忙な保護者にとって、「学校への訪問」と「スムーズに連絡が取れない環境」による活動の負担はかなり重い。ここのハードルが下がった鴻巣中央小では、楽になったと感じる保護者は多いことだろう。
清水氏はこのほか、コロナ禍では、密を避けるためオンラインもフル活用。役員決めの抽選は公平性を担保するため、くじ引きの様子をライブ配信した。21年4月のPTA総会も、オンラインで実施。「とくに困ることもなく、むしろ負担が少ないので今年もオンライン総会の実施を検討したい」と、清水氏は話す。
「広報誌の廃止」で活動費は約20万円から約3500円に
さらに2021年度は、年に3回発行していたPTA広報誌を廃止し、ブログでの情報発信にシフトした。この改革を提案した理由について、清水氏はこう語る。
「まずはお金の問題。本校はデザインと印刷の外注に、年間で約20万円かけていました。また、学校と保護者が、原稿の修正を何度もやり取りする労力も大きい。時間もかかるので、発行する頃には記事の鮮度が落ちていることも。一生懸命作ってもしっかり読んでいただけないことも少なくないので、悲しく思っていました」