ウッズ使用「新ドライバー」にゴルフ界が注目の訳 ゴルフクラブのヘッド材料にカーボン使用のなぜ
その中で、再びテーラーメイドが突然発表したカーボンフェースのカーボンウッドである。カーボンウッドは1982年にヤマハ、ダイワ、ミズノが発売し、その後、ブリヂストン、キャロウェイなどが商品化した。
またテーラーメイドも2012年に「グローレ」ブランドで投入したが、打音・打感の悪さや、フェースが傷つきやすいなどの理由で消えていった。1990年に登場したチタンヘッドが主流となり現在に続いている。それだけに、今回の発表は業界の中では「なぜカーボンウッド」との声も上がった。
現在、カーボンの素材はクラブヘッドのクラウンと呼ばれる本体の上面には、その軽さを生かして使用されることは多いが、ボールが当たるフェース部分には使われていなかった。高橋氏も「カーボンフェースの反発はチタンに比べてよくないため、反発係数に注目していたらカーボンはなかった」と明言する。
それではなぜカーボンフェースなのか。高橋氏によると、カーボン素材は金属素材に比べて、軽く、比強度が高く、設計自由度があるなどの大きなメリットがある。テーラーメイドはその長所に着目し続け、カーボン素材の研究を20年以上続けた成果とのことだ。
「カーボンフェースはチタンに比べフェース部分を43グラムから24グラムへと50%ほど軽量化でき、エネルギー伝達効率がよくなる。その効果でボールスピードを上げることができる」(高橋氏)
カーボン素材の欠点を克服するために、新開発のカーボンフェースは60層の構造を持っている。カーボンフェースはアメリカで製造し、最終仕上げの塗装はアジアで行う国際分業で仕上げる。60層の構造にすることで、カーボンフェースの欠点である傷つきやすさや、打感の悪さが大きく改善されるという。
「ステルス」と名付けられた理由
このカーボンウッドは秘密裏に開発され、アメリカの本社でも、開発チームの部屋から外に出すことが禁止されていた。試打するときも関係者のほかに人がいないことを確認してテストされた。「ステルス」と名付けられたのはこうした経緯からだ。
最終的な契約プロのテストは昨年10月に行われ、D.ジョンソン、R.マキロイ、コリン・モリカワ、タイガー・ウッズ他そうそうたるメンバーが試した。しかし、結果がよく、気に入っても持ち帰り禁止という条件だった。当然、プロもこれに従っていた。ただ、タイガー・ウッズだけが持ち帰った。
もちろん、復帰戦に向けて使いたいとの要望があった。テーラーメイドもそのバックアップをしたいとの思いがあり、タイガーの練習環境も秘密が保たれる。
タイガーは「ステルス」を試打したその場で気に入り、「曲がらない」「ファスト(初速が早い)」とコメントしたという。
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