話題の「扉付き個室バス」、コロナ追い風か逆風か 城崎温泉・東京から大阪まで、2台を徹底比較
――コロナ禍の中で、個室バスをどう生かしたいと考えていますか。
「安心して移動できる」のが強みだ。「移動時間を楽しめるコンテンツの提供」などの新たなサービスを提供することで、収益を確保したいと考えている。車内で提供できるコンテンツと、旅先の観光地をタイアップさせるなど、これまでよりも移動に付加価値を与えたい。今回「バスビュー」「ARグラス」を、期間限定で実証実験しているが、好評なら拡大したい。
関東バス「ドリームスリーパー東京大阪号」
次に、池袋・新宿―なんば・大阪駅・門真車庫を結ぶ、扉付個室バス「ドリームスリーパー東京大阪号」に乗車した。以前は両備バスとの共同運行だったが、コロナ禍により、現在では関東バスの単独運行となっている。これに伴い、運行日も毎日から、週末のみに変更された。2019年7月より、東京側では新宿駅に、大阪側では大阪駅に立ち寄るようになり、利便性が増している。
乗車時に靴を脱ぎ、渡された袋に入れる。スリッパも提供される。
筆者は「B1」個室を予約した。夜行バスではあるが、個室バスは「電気を消して、夜景が見られる」のも楽しみなので、窓枠配置と個室位置が合っている前4列がオススメだ。なお、最後列は側窓にロゴが掛かっているか、非常口があるので景色はあまりよくないが、早割で指定される個室で、安い利点がある。
個室長さは1.65m、個室幅は90.5cm、折り畳みテーブルの横幅35.5cm、奥行46.3cm(滑り止めの縁があるので、有効幅は横31.4cm、奥行きが38cm)、座席上の荷物置き場は、幅29cm、奥行63cm、側窓横のテーブル幅は13cm、側窓は縦96cm、横1.65mだった。
付帯設備として、ルームウェア、快眠音楽が聞けるオーディオ設備、イヤホン、マスク、アイマスク、ロゴ入りミネラルウォーター、スリッパ、おしぼり、アメニティセット、毛布、コンセント、USBポート、無料Wi-Fi、空気清浄器のプラズマクラスターも設置されている。
NASAの理論に着想を得た「ゼログラビティシート」は、座席幅56.7cm、背もたれ高さ75cm、肘掛け幅が6cmとゆったりしている。電動リクライニング音が小さいことは、新幹線「グランクラス」を上回っており、高級感がある。
座り心地は枕の具合がよく、マットレスも丁度いい質感だ。個室の広さの関係もあるのだが、リクライニング角度がもう少し大きくて、レッグレストが水平まで上がると、なお寝やすいだろう。付属のルームウェアは着心地がいい。
個室の側扉を閉める。扉に鍵はかからないが、他の乗客の気配すらも感じないバス旅には安心感がある。床にカーペットが敷かれていることは、高級感だけでなく、防音でも効果があるように感じる。
「ドリームスリーパー東京大阪号」は、早割で1万4000円、通常料金で2万円と高額だが、同じ価格帯の新幹線グリーン車や、航空機の上級クラスよりも、密にならない安心感があり、値段に見合った内容だと感じた。
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