絶滅危惧種、小田急ワイドドア車の数奇な運命 開口幅は2m、混雑緩和の切り札だったが…

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縮小

1000形ワイドドア車の改造はさらに続く。1000形ワイドドア車には4両編成と6両編成があったのだが、2004年に編成を組み換えて6両編成に統一されている。4両編成を6両編成に組み替えると、先頭車を中間に組み込むことになるが、中間に組み込まれた先頭車は運転台を撤去し、代わりに4人がけの座席が設けられた。この改造に合わせて、先頭車では車椅子スペースを設置したので、当初から6両編成だった車両と仕様が異なっている。

扉幅の縮小や編成の組み換えなど、改造を繰り返したことで、ファンの間からは「1000形ワイドドア車は『魔改造』の車両」と言われている。

1000形ワイドドア車が6両編成に揃えられた時代では、各停(各駅停車)の加速性能を上げることで、列車の遅れを抑制する対策が行われている。加速性能の向上に対応しない1000形のワイドドア車は、ラッシュ時間帯に新宿方面の各停から外し、他の列車に使用する目的で6両編成に揃えられた。この時点で、ワイドドア車によって乗降時間を短縮する意義は薄れたと言ってよいのかもしれない。

新宿に来なくなった

小田急電鉄は、2012年に新宿駅の急行ホームでホームドアの使用を開始した。その後、ホームドアは下北沢や代々木上原など、新宿方の主要駅に設置が進められたが、新宿駅にホームドアが設置された頃から、新宿方面で1000形ワイドドア車を見かける機会が少なくなっている。

2019年以降は新宿にやってくる機会が皆無となり、おもに小田原方面のほか、多摩線や江ノ島線で使用された。これにより、ラッシュ対策として造られた意味を完全に失い、ラッシュ対策で造られた車両が最も混んでいるエリアで使用できないという、おかしな話になってしまった。

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