NTTドコモのiコンシェル、成熟市場の突破口となるか
通信キャリアに商機 位置情報の活用がカギ
iコンシェルは月額210円と有料だが、店頭での勧誘などにより、2008年11月のサービス開始から会員数は順調に伸びている。今年9月末時点で、その数は総契約者数の約1割に当たる541万契約。この情報配信サービスは、ドコモから見れば、500万人超にメッセージを送ることが可能な巨大広告ツールとしてのポテンシャルを秘める。
山田隆持社長は「iコンシェルは大化けするサービス。1000万契約を超えたら、すごい広告媒体になる」と大きな期待を寄せる。
サーバー内のユーザー情報を利用すれば、「ハンバーガーのクーポンを取得した人」「洋楽に興味がある人」など、ターゲットを絞った効果的な販売促進が可能となる。
さらにこうした履歴情報に奥行きを与えるのが、ユーザーの位置情報だ。「駅から帰るときに、スーパーや商店街から『今日はキュウリが1本50円です』とか、『たった今パンが焼き上がりました』とか、タイムリーな情報が入ってきたらきっといい」(山田社長)。
ドコモでは09年11月発売以降の端末から、ユーザーの現在地を5分ごとに自動で捕捉する「オートGPS」を導入した。この機能とiコンシェルの情報配信能力との組み合わせで、位置情報連動広告という、まったく新市場が立ち上がりつつある。
09年に1031億円だったモバイル広告市場(国内、電通調べ)は今後急成長が見込まれ、今年に入りグーグル、アップルが相次ぎ関連企業を買収。位置情報連動広告はその中で一定の規模を占めていく存在だ。
iコンシェルでは、こうした広告配信はまだ試験的にしか行っていない。ただ、要となる位置情報について、ドコモらの通信キャリアは支配者と呼べる存在だ。全国数万局の基地局と人工衛星により、端末の位置をリアルタイムにとらえている。