機能的品質は当たり前、情緒的品質こそ強めよ--『「日本品質」で世界を制す!』を書いた遠藤功氏(早稲田大学ビジネススクール教授、ローランド・ベルガー会長)に聞く

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 それだけ、そこで起きた現象を特殊なユーザーの感覚の問題と決めつけてはいけない。感覚の問題であっても、そこから学習しつつ対応していく。むしろそういう感覚を持つ顧客に真摯に耳を傾けて、繰り返し手を打つ。感覚の問題は言われて初めて気がつくことだから、そこで突っぱねても始まらない。顧客軽視と言われてしまいかねない。見えない不良はそういうタイプの品質問題だと自覚することが大事だ。

──むしろリスク管理の問題ですか。

とらえ方次第でうまくコントロールできるから、これはリスク管理の問題になる。品質管理の専門家は、自分たちの品質に対して絶対的な自信があるから、逆に問題を簡単に認めようとしない。品質管理と品質リスク管理は別物であり、品質のプロでない人が品質リスク管理をやるべきなのだ。墓穴を掘る前に、両者の役割は全然違うと認識しないといけない。自分たちだけの生真面目さだけでは通用しない。顧客に対するオープンマインドがあって生真面目さが生きる。

──サービス産業でも同様ですね。

顧客の満足度のレベルがどんどん上がっている。客が満足と言っていても、本当は不満でないだけの状況だったりする。顧客からすれば、すこぶる満足、さらには感動している状態を言っているのではなく、ただ不満でないだけの状態なのかもしれない。今まで日本品質といわれるものの多くは、このいわば機能的品質を満たす価値だったのではないか。

──有名ブランドには違う価値が付加されます。

ヨーロッパのブランドとして好まれている商品を見ると、わくわく感、どきどき感がある。同じ機能的品質と思われるものでも、ちょっと違う感覚を与えてくれる。日本の場合は機能的に耐久性がいいとか、清潔でてきぱきしているとかの評価が多かったのではないか。

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