イオンの新3カ年計画で復活する「拡大志向のDNA」

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商社系列での再編に“含み”

中期計画発表の席上、岡田元也社長は「食品卸が商社系列で再編し、巨大になってきている。これが小売りや食品メーカーにも影響を与える」と発言。商社主導で川上から川下まで、食品流通が大再編になだれ込む可能性を示唆した。イオンには三菱商事の資本が入っており、同じ商事系列のローソンやライフコーポレーションとの糾合、との連想が働く。特にコンビニエンスストア2位のローソンとは、周辺業態へ果敢に挑戦するアグレッシブさが似通う。

イオンはコンビニ5位のミニストップを傘下に持つが、上位陣にはかなり水を空けられており、首位のセブン-イレブン・ジャパンとイトーヨーカドーを持つセブン&アイ・ホールディングスとの収益力の差につながっている。実際、国内コンビニは上位3グループに集約しつつあり、3位のファミリーマートはエーエム・ピーエム・ジャパンを吸収。また業界4位のサークルKサンクスのエリアフランチャイザーが、まさにローソンの切り崩しにあっている。

さらにもう少し深読みすれば、イオンにとっては、国内コンビニの覇権争いに巻き込まれるよりも、海外展開に資源を集中したいはず。たとえば、同様に中国展開を本格化しつつあるローソンとタッグを組み、地域ごとに「GMSはイオン、コンビニはローソン」として出店すれば、セブン&アイを牽制しつつ、勢力を拡大できる。合併や再編は必ずしも必要でなく、イオン得意の「緩やかな」資本提携でも十分かもしれない。「アジアの都市居住者は2020年に22億人に増えている」(岡田社長)。巨大マーケットへの展開に比べれば、日本市場でのトップ争いはコップの中の嵐にすぎなくなる。

小売りの主戦場は、すでに海を越えた。

(写真は埼玉県越谷市のイオンレイクタウン) 


《東洋経済・最新業績予想》
 (百万円)   営業収益  営業利益   経常利益  当期利益
連本2010.02    5,054,394    130,193    130,198     31,123
連本2011.02予   5,060,000    152,000    157,000     50,000
連本2012.02予   5,070,000    160,000    164,000     51,000
連中2010.08    2,505,121     62,175     67,572     33,628
連中2011.08予   2,510,000     64,000     71,000     34,000
-----------------------------------------------------------
          1株益\    1株配\
連本2010.02         40.7         20記
連本2011.02予        65.3         21特
連本2012.02予        66.7      17-21 
連中2010.08         44.0          0 
連中2011.08予        44.4          0 
山川 清弘 「会社四季報オンライン」編集部 編集委員

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やまかわ・きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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