富士テクニカは公的支援受け、国内3位と統合へ。債務軽減、スリム化で生き残り図る

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富士テクニカは公的支援受け、国内3位と統合へ。債務軽減、スリム化で生き残り図る

自動車金型で国内2位の富士テクニカは、企業再生支援機構のバックアップを受け、3位を宮津製作所(非上場、本社・群馬県大泉町)を統合する。富士テクニカが宮津の事業を買収する形を取り、宮津は事業譲渡後、清算する。事業統合は12月下旬の予定。統合新会社は2014年3月期に売り上げ170億円、営業利益6億円を目指す。

企業再生機構は、優先株として53億円を富士テクニカに出資し、取引銀行はDES(債務の株式転換)、DDS(債務を劣後ローンに転換)の形で43億円を支援する。運転資金についても、銀行団は最大30億円融資する計画(うち半分を支援機構が保証)だ。支援金総額は126億円に上り、富士テクニカの前10年3月期売り上げ158億円の8割に達することになる。

統合を前提に、両社は一段の体質スリム化を実行する。富士テクニカは三島工場を閉鎖し、90人の希望退職を募集。宮津は460人全員をいったん解雇したうえで、社員220人・契約社員100人を再雇用し、統合新会社の人員は35%削減される見込み。

また、優先株の発行によって既存株主の権利は潜在的に20分の1に希薄化される。

だが、一連の金融支援と合理化をもってしても、統合新会社の前途は楽観を許さない。自動車金型の分野では、国内自動車メーカーによる内製化が進み、富士テクニカや宮津のような専業メーカーには限界的な仕事しか回ってこない構造が定着しているからだ。やむなく、専業メーカーは中国・ロシアなど新興国市場に活路を求めているが、ここでは日本勢どうし、さらには伸長著しい現地メーカー(韓国・台湾・中国勢)との激烈な価格競争を余儀なくされている。

支援機構は「今回のケースは国内勢が過当競争から脱する再編のモデルケースになりうる」とするが、1万社がひしめく自動車金型市場で、両社のシェアは合計14%。統合効果は限られたものにならざるをえない。

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