EUのアジア戦略で日本は完全に「蚊帳の外」

韓国とEU(欧州連合)は6日に首脳会談を開き、FTA(自由貿易協定)に正式に著名した。来年7月に発効する見込みで、自動車や電子機器、医薬品、農産物などの関税を5年以内にほぼ全廃する。EU内で韓国製品の競争力が上がるのは確実で、日本メーカーが影響を受けるのは避けられそうにない。

すでに日本もEUに対し、数年前からEPA(経済連携協定)の交渉を持ちかけている。しかし「非関税障壁があるかぎり、メリットは薄い。日本政府もどこまで意欲的なのか懐疑的」(EU筋)と見られている。

EU側が特に問題視するのは、農産物の非関税障壁だ。「世界中で農業を過度に保護するのは日本くらいでは」と批判が集中している。EUでは国家予算の4割超を農業分野が占め、農家への直接支払いを実施することで、安価な輸入作物との競争力を保っている。日本でも今年度から米農家に対する戸別所得保障制度が始まり、来年度からは漁業や畜産などにも広げる方針だ。だが軌道化するまでは道半ばで、非関税障壁の撤廃は用意でない。

日本はアジアで6番目?

EUがアジア重視の姿勢を打ち出す中で、日本だけが「蚊帳の外」に見える。「欧州人のメンタリティとしては、アジアで優先順位の高い国は中国、インドに次いで日本は3番目」(別のEU筋)との指摘もあるが、すでにベトナムやマレーシアともFTA交渉を開始している。日本の存在感は薄まるばかり、といった認識が正しいだろう。

とはいえ悩みもある。EU関係者からは「中国は政治のみならず、知財や特許面でも問題が多い。東アジアに君臨するような事態は避けたい」といった本音も聞こえてくる。中国産レアアースの禁輸問題などでは欧米も苦慮している。日本とのFTA締結は難しくても、資源獲得で協力できないのか。さらにアフリカの開発などでも協業を探る道はあるはずだ。日本が今のように内向きのままでは、アジアの中で取り残されるばかりだろう。
(前田 佳子 =東洋経済オンライン) 

政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
  • コロナ後を生き抜く
  • ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
  • ソロモンの時代―結婚しない人々の実像―
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
正規と非正規「格差訴訟」<br>判断が分かれた最高裁判決

非正規労働者が年末年始の待遇や病気休暇などについて正社員との格差是正を訴え、最高裁は格差は不合理で違法とする判決を出しました。一方で賞与や退職金についての格差是正はほぼ全面的に退ける判決も。非正規労働者の待遇は改善するのでしょうか。

東洋経済education×ICT