収益を安定的に増やせば規模は自ずとついてくる--廣瀬博・住友化学社長
──今年4~6月期は、住友化学をはじめ国内化学大手の業績が好調に推移しましたが、今後は。
当社は今期営業利益700億円(前期比36%増)を見込んでいるが、内訳は上期500億円、下期200億円。先行きについては慎重に見ている。日本国内では、エコカー補助金の打ち切りが石油化学製品の需要減につながってくるだろう。
一方、当社は今期の海外売上高比率が53%(前期45%)に達する見込みで、もはや日本国内だけを気にしても仕方がない。その点で警戒しているのが中国経済の動向だ。
多少成長が鈍化したとしても、年8~9%程度のGDP成長率は保つだろうが、中国は輸出の4割強を欧米に依存している。欧米は財政や金融システムに不安を抱え、それぞれ景気回復には時間がかかりそうで、中国に悪影響が及ぶ可能性がある。これに伴うアジアの石化製品市況悪化のリスクも想定している。
ラービグ計画は今期 何としても黒字転換を
--年初に発表した3カ年中期経営計画で「ラービグ計画」の収益最大化を重点課題に掲げていましたが、現時点での進捗状況は。
当社が37・5%を出資するペトロ・ラービグは稼働初年度の昨年が赤字スタートとなり、当社の10年3月期連結決算上では130億円台の持ち分法投資損失を計上した。フル操業に入った今期は、何としても黒字に転換したい。
この事業は、石油精製と石油化学の二つで構成している。われわれは精製からそうとうな利益が得られると想定していたが、景況の悪化でガソリンなど燃料の需要が増えないので、リファイナリーマージンの採算はよくない。ただ、厳しい今を踏ん張れば、中長期的に採算は改善していくと見ている。
一方、石化製品の販売は100%子会社の住化アジアが担当しており、原料の安さを武器に利益を上げている。エタンガスから取れるエチレン系の石化製品は、日本のナフサ(粗製ガソリン)を原料とする一般的なエチレンと比べ、コストが10分の1、15分の1以下といわれる。プラントを新設したため固定費はかかるが、競争力は大きなものがある。