【産業天気図・ガラス・土石製品】新興国需要旺盛も、先進国の回復鈍いガラス市場、1年通して「曇り」へ
10年10月~11年3月 | 11年4月~9月 |
ガラス業界は2011年9月まで1年通して、「曇り」の低調な景況感になりそうだ。
ガラス需要はリーマンショック後、板ガラス(自動車、建築用)、情報電子用(液晶パネル用ガラス基板など)とも急落した後、地域によって回復度が大きく異なる。中国などアジアの回復が最も速く、続いてインド、ブラジルなど新興国が回復している。これらの地域に比べて回復が鈍いのが、欧州、北米、日本である。
ガラス首位の旭硝子は11年3月期は過去最高の利益を計上するが、液晶パネル用とアジア市場が牽引したもので、情報電子用が営業利益の90%を占める見込みだ。一方、2位の日本板硝子は欧米市場の板ガラスに売り上げの60%を依存する事業構造の結果、1年3月期は営業黒字化にとどまる利益水準だ。3位のセントラル硝子は板ガラス事業がやっと黒字化する見込み。利益のほとんどは医薬・農薬原体、電子材料など化成品が稼ぐ。
液晶パネル用ガラス基板は10年度前半は絶好調だが、液晶大手のシャープ、韓国LGエレクトロニクスなどは夏場から秋口にかけて在庫調整に入ると報道されている。ただ、現在のところ、この調整は軽微なものに終わり、「液晶用は途中に調整があっても、右肩上がりの成長が続いている。11年には再び成長軌道に入る」(旭硝子)と見られる。
一方、セメント業界は11年9月まで「雨」と、ガラスよりもう一段厳しい景況感が予想される。公共投資、設備投資、住宅投資の減少で国内需要の低迷が続く。これまでセメントメーカーは国内需要5000万トンを下限と見ていたが、足元では4000万トンに落ち込んだことから、4000万トンでも利益に出る態勢へ生産能力削減、人員削減など減量に努めている。
11年以降は、国内需要もようやく下げ幅を縮めていること減産効果で、小幅の景況回復が期待できそうだ。
(内田 通夫=東洋経済オンライン)
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