自分の成長にブレーキかける人が陥る3つの思考 何歳になっても成長し、自己実現の為に大切な事

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③「だって、これが好きなんだもん」(自分への言い訳)

人生100年時代をどうキャリアチェンジしていくかというようなテーマの講演後、こんな相談を受けることがあります。

「今が好きで、十分満足しているので、変わりたくないんですけど。変わらなければいけませんか?」

どんなに「変化」が叫ばれていても、「今の状態が好きだから何も変えたくない」というのです。それは、一見とても素晴らしいことのように思えます。「今が好き」と言えるのは、恵まれた人生です。

単に慣れているから気持ちいいだけかもしれない

ただ、僕には1つ、気になることがあります。

その「好き」は、本物の「好き」でしょうか?

好きに嘘も本物もないでしょう、と驚かれるかもしれません。なにも、本人が自分を偽っていると言いたいわけではありません。確認したいのは「好き」と「慣れているから心地いい」ことの線引きがしっかりできているかどうかということです。この2つの感情はとても似ているようで、実際には大きく異なるものです。

「このお店が好き」「この土地が好き」というのが、実は単に「すっかりなじんでいて快適だから」という理由であることは、結構な確率で起こっているような気がします。

『Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」』(日経BP)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

「日本が好き」「やっぱり朝はごはんと納豆とおみそ汁がいちばん」「買い物をするなら銀座がいいよね」など、自分の「好き」をたくさん持っている人はとても楽しそうで素敵なのですが、少しだけ不安も感じます。「他を知らないだけじゃないの?」と。

とはいえ、わざわざ「心地よくないものを選ぶ」というのは、なかなかできることではありません。Aという親しんだ心地よいものと、Bという見知らぬものが並んでいるときに、あえてBを選ぶというのは心理的ハードルが高そうです。

そこで、ぜひやってみてもらいたいのは「無条件にAを選ばない」というアンラーンの技術です。慣れていることから少し距離を置いてみる、決まったパターンで当然のように選んでいたものからしばらく離れてみる。どうしてもそれを選びたいなら、その理由を具体的に言語化してみる。

そうすることで、ほんとうの「好き」かどうかがはっきりします。

柳川 範之 東京大学経済学部教授

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やながわ のりゆき / Noriyuki Yanagawa

1963年生まれ。東京大学経済学部教授。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。現在は契約理論や金融関連の研究を行うかたわら、自身の体験をもとに、おもに若い人たちに向けて学問の面白さを伝えている。主な著書に『法と企業行動の経済分析』(第50回日経・経済図書文化賞受賞、日本経済新聞社)、『契約と組織の経済学』(東洋経済新報社)など。

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為末 大 アスリート

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ためすえ だい / Dai Tamesue

1978年広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2021年12月現在)。現在は執筆活動、会社経営を行う。Deportare Partners代表。新豊洲Brilliaランニングスタジアム館長。YouTube為末大学(Tamesue Academy)を運営。国連ユニタール親善大使。主な著作に『Unlearn(アンラーン)人生100年時代の新しい「学び」』(共著、日経BP)、『Winning Alone』(プレジデント社)などがある。

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