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今、あえて初期「ミクシィ」を懐かしむ インターネットが「もうひとつの世界」だった頃

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とりわけ大きかったのは「コミュニティ」の存在だ。コミュニティとはミクシィ内にサークルを立ち上げ、仲間を募って情報交換することができる機能だ。僕は数多くのコミュニティに属し、自分でも好きな本やバンドなどのコミュニティを立ち上げた。さとうち藍&松岡達英の名著『冒険図鑑』や、新星堂の3枚組コンピレーションCD『3×20』などだ。

どんなにマニアックなコミュニティを作っても、どこからか人が集まってくる。今まで誰とも話せなかった話題で盛り上がれるのは新鮮だった。お互いの所属コミュニティ一覧を見れば趣味は一目瞭然、他人と思えないほど自分と重なる人に出会って意気投合することもあった。

仕事とは別のつながりが、結果として仕事のヒントに

当時、海外で高い評価を受けながら日本での公開予定がなかった映画『ホテル・ルワンダ』の上映を求める署名運動もミクシィ内のコミュニティを拠点に展開された。ウェブ制作の知識がある人がサイトを立ち上げ、文章を書くのが得意な人がこの作品の意義を訴えるメッセージを書く。ミクシィで出会ったメンバーたちがそれぞれ自分の得意技を持ち寄り、運動を盛り上げていた。後に僕が立ち上げる「文化系トークラジオLife」のサブパーソナリティとなる柳瀬博一さんとも、このコミュで出会ったのだった。

もちろん、これはあくまでも僕の個人的な思い出話だ。たまたま当時のミクシィのオープンとクローズドのバランスが、僕に合っていたということだろう。ユーザー数が増え、サービスの成長に合わせて仕様や雰囲気が変わっていくのはインターネットサービスの宿命だ。規模が大きくなればノイズが増えるのは仕方がないし、多くの人が使うようになれば、SNSが現実の人間関係を反映したものになっていくのも当然だ。

ただ、多忙で飲み会などにもめったに顔を出せない身としては、オンラインに有意義な出会いの場があるのは本当にありがたかった。仕事とは別のつながりを作ることで、結果として仕事のヒントを得られたことも多い。今、そういう場はどこにあるのだろう?

そういえば、市街地の移転で空き家だらけとなった倉庫街に若いアーティストたちが住み着き、やがて文化の発信地となったニューヨークのソーホー地区のような例もある。ひょっとすると、そろそろミクシィもいい塩梅になったりしないだろうか……。 

構成:宮崎智之

「週刊東洋経済」2014/10/4号:反転攻勢は本物か パナソニック

 

 ☆★☆お知らせ☆★☆

この記事の筆者・長谷川裕氏がプロデューサーを務める「文化系トークラジオLife」が、8月31日(日)25:00~(9月1日1:00~)に放送されました。テーマは「ソーシャル、レジャー、リア充」。過去の放送は、ポッドキャストでも聴けます。

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