東京電力が新中計発表。海外投資拡大、原発事業推進など「攻め」の戦略が前面に

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 東京電力が中期経営計画を発表したのは6年ぶり。04年に策定された前中計(今期が最終年度)では、業務効率の2割以上の改善、株主資本比率25%以上、電気事業以外の売上高・利益を1割以上にする、といった目標を設定していた。

だが、07年の新潟県中越沖大地震の震災で、基幹電源である柏崎刈羽原発の全7基が運転停止するという過去最大級の危機に直面。その危機克服が最優先となって、中計自体の影は薄くなっていた。柏崎原発はまだ完全復旧のメドはつかないものの、今期までに3基が商業運転を再開するなど最悪期は脱しつつあり、東京電力としては新たな成長戦略へのギアチェンジを図りたいところ。

今回の中計で注目されるのは、これまで比較的リスクの低い火力発電所の権益取得などが中心だった海外事業を、新設発電所の開発そのものに参画するといったよりリスクの大きい領域にまで拡げようとしている点だ。

国内で培った原子力発電所の運用技術や安全対策などの経験を活かして海外市場を開拓する、という戦略のシフトは「攻め」の姿勢として評価できるものの、いくつかのハードルが立ちはだかることも事実だ。まず、実質的に地域的な独占状態にある国内市場とは違う海外の競争環境で、欧州系などの海外企業に対抗できる事業推進力があるか。また、重電メーカーなどと官民一体で取り組もうとしている海外の原発事業では、どのようにリスクを分担し、資金面も含めどのように政府の協力を引き出すか、という調整力や政治力も必要となる。

「問題対応型から課題解決型へ、パラダイムを変えたい」、と清水正孝社長は新中計の基本認識を語る。典型的な内需型産業の殻を脱し、世界的な展開では圧倒的に先行しているフランスのアレヴァやGDFスエズといった海外の電力企業と肩を並べるためには、国際的な経験やスキルを持つ人材の育成・獲得も急務となりそうだ。

(勝木 奈美子 =東洋経済オンライン)


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
連本2010.03  5,016,257 284,443 204,340 133,775
連本2011.03予 5,310,000 300,000 210,000 88,500
連本2012.03予 5,500,000 400,000 310,000 170,000
連中2009.09  2,497,898 240,695 203,958 138,164
連中2010.09予 2,610,000 155,000 125,000 39,000
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
連本2010.03  99.2 60 
連本2011.03予 65.6 60 
連本2012.03予 126.1 60 
連中2009.09  102.4 30 
連中2010.09予 28.9 30 
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