アマゾン「キンドル」が着々と日本進出準備
電子書籍端末といえば、アップルの「アイパッド」「アイフォーン」などの多機能端末を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、急速に電子書籍の普及が進む米国では、反射型の電子ペーパーを用いた専用端末が電子書籍端末の主役。米国で約7割と、圧倒的なシェアを誇るアマゾン「キンドル」がその中心に君臨している。第2位のソニー「リーダー」とのシェア競争を有利に進めており、市場支配力はますます強まる見通しだ。
2009年11月、アマゾンは日本向けにも国際版キンドルを発売した。しかし、本体には日本語を表示するためのフォントが内蔵されていないうえ、日本語書籍の販売も行ってこなかった。そんな中でも、日本における本格展開に備え、ソニー、凸版印刷、KDDI、朝日新聞社の4社出資による日本独自の流通プラットフォーム構想が誕生。日本の電子書籍市場でもアマゾンが圧倒的なシェアを奪う可能性があるため、ガードを固めている状況だ。
とはいえ、肝心の黒船がなかなか攻めてこない。出版業界では、昨年後半には「年明け早々に上陸する」との説が流れ、年明けには「夏には日本語書籍のストアができるのではないか」との“早期襲来説”が語られた。が、連続して肩すかしになったことから、今では「日本への上陸はしばらく先」「中国市場を優先する可能性が高い」という“日本パッシング説”も流れる始末だ。
が、周辺を取材すると、キンドルは今年の年末から来年年初にかけて日本へ本格上陸を果たす可能性が高そうだ。新端末や海外進出の動きなどから、世界展開の準備が着実に進んでいることが読み取れる。アマゾンが8月27日に発売した第3世代のキンドルは、昨年2月発売の第2世代機にはない特徴が多く組み込まれており、そこには日本進出をにらんだ仕掛けも隠されている。
標準カラーが黒に変身した第3世代機は、第2世代機よりも一回り小さく、軽くなっており、画面サイズ6インチのまま本体のサイズが縦横およそ1センチメートル小さくなった。重さは15%減の約250グラム。
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