スコットランド住民投票が投げかけた波紋 英国の分裂回避だが、EUの危機を醸成

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独立の火種を抱える他国への飛び火も気掛かりだ。中でもスペインのカタルーニャ自治州は、11月9日に独立の是非を問う住民投票の実施を予定しており、スペイン政府は憲法違反として実施を認めない方針を堅持している。

独立の現実味はさておき、スコットランド同様に、住民投票の実施を求める声が各地で広がるおそれがある(左図)。

世界的な金融危機や欧州債務危機の発生以降、ヨーロッパの多くの国で反EUや移民排斥を訴える政党の躍進が目立つ。5月に行われた欧州議会選挙では、英国やフランスで反体制派の政党が第一党となり、最近のスウェーデンの総選挙やドイツの地方選挙でも反体制派が支持を伸ばした。

これらの政党に共通するのは、厳しい経済情勢やEUへの主権移譲に不満を持つ有権者の批判票を原動力としている点だ。こうした内向き志向やナショナリズムの高まりは、欧州の統合理念を揺るがしかねない。

「週刊東洋経済」2014年10月4日号<9月29日発売>掲載の「核心リポート03」を転載)
 

田中 理 第一生命経済研究所 首席エコノミスト

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たなか おさむ / Osamu Tanaka

慶応義塾大学卒。青山学院大学修士(経済学)、米バージニア大学修士(経済学・統計学)。日本総合研究所、日本経済研究センター、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券(現モルガン・スタンレーMUFG証券)にて日、米、欧の経済分析を担当。2009年11月から第一生命経済研究所にて主に欧州経済を担当。

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