《プロに聞く!人事労務Q&A》健康診断の再検査費用を会社が負担しなければなりませんか?

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■健康保険制度による健康診断
健康保険では、生活習慣病を予防する目的で健康診断を実施しており、その費用の全部または一部を支給しています。

健康保険による健康診断の検査項目と定期健康診断の検査項目はほぼ同じですので、会社は健康保険で給付される分を除く部分の費用負担になります。

■労災保険による二次健康診断
労働安全衛生法で定める定期健康診断等のうち、直近のものにおいて、業務による過重労働やストレスで脳血管疾患・心臓疾患の発症のおそれが高いと診断された労働者は、労災保険法による二次健康診断等の給付を無料で受けることができます。

■健康診断結果の報告
労働安全衛生法では、定期健康診断を会社が指定した医師以外で受けた場合には、その結果を証明する書面を会社に提出しなければなりません。(労働安全衛生法第66条5項)

異常所見による再検査の実施は、会社に義務づけていませんので、その診断結果を、労働者が会社へ報告する義務はありません。

会社は、労働者に対する安全配慮義務から、再検査結果の報告を求め健康状態を把握し就業管理に活用したい場合は、労働者の同意が必要となります。

例えば、同意を得やすくするために、「同意書を提出した場合は、検査にかかった費用の全部又は一部を会社が負担する」と定めてもよいでしょう。

なお、健康情報には病名等がありプライバシーにかかわるものですから、取り扱いには十分な注意が必要です。

白石多賀子(しらいし・たかこ)
東京都社会保険労務士会所属。1985年に雇用システム研究所を設立。企業の労務管理、人事制度設計のコンサルティングを行う一方で、社員・パートの雇用管理に関する講演も行っている。東京地方労働審議会臨時委員、仕事と生活の調和推進会議委員。著書に『パート・高齢者・非正社員の処遇のしくみ』(共著)。


(東洋経済HRオンライン編集部)

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