ビートルズ「最後のライブ」はなぜ屋上だったのか 『ジョン・レノン 最後の3日間』Chapter37
一緒にいようよ――「レッツ・ステイ・トゥギャザー〈Let’s Stay Together〉」
ビートルズは、『ハード・デイズ・ナイト』や『ヘルプ!』の撮影にも使われたトゥイッケナムのスタジオに戻った。
英国での10枚目のアルバムとなる『レット・イット・ビー(Let It Be)』(当初タイトルは『ゲット・バック(Get Back)』になるはずだった)の制作過程を追った映画を作ることになったのだ。
撮影監督には、『ローリング・ストーンズのロックンロール・サーカス(The Rolling Stones Rock and Roll Circus)』(この作品は結局お蔵入りとなり、1996年まで公開されなかった)の監督を務めたマイケル・リンゼイ=ホッグが選ばれた。
この企画についてバリー・マイルズは、「あれもまた、ポールのアイディアだった」と説明している。
タイトル・ソングの「レット・イット・ビー」は、10年前、1957年に亡くなった母マリーが、ポールの夢に出てきたことに着想を得て書かれた曲だった。
「僕たちは、またツアーに出るべきだと思うんだ」
1968年のクリスマス前、ポールが言った。
「小さなバンドが、旅をしてクラブやなんかで演奏する。初心に戻って、そういう僕たち本来の在り方を思い出そうよ」
ポールの言葉の背後には、ビートルズが初めて直面しつつある新たな問題があった。金銭的なプレッシャーだ。