北京冬季五輪「外交的ボイコット」巡る重要な論点 自民・佐藤氏「日本は疑念を持たれてはいけない」

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松山キャスター:玉木さんにも聞きたい。佐藤さんは、政府がもっと早く外交的ボイコットを決断し表明すべきだとの意見だが、玉木さんはどう考えるか。

明確なメッセージを出していない政府、国会

玉木雄一郎氏(国民民主党衆院議員、党代表):今の段階で政府の高官を送ることは誤ったメッセージ、つまり、今の中国の人権状況を日本は認めたということになるので、私も高官を送るべきではないと思う。その決断が今まで引っ張られ、国内でこういう論争になっていることが外交的に失敗しているのではないか。そもそも誰を送るか送らないかよりも、今の中国の人権状況に日本政府として、日本の国会として明確なメッセージを出していないことが問題だ。その明確な方針があって、では北京五輪にはこういう対応をしようという話が出てくるのだが、その根っこの方針で腰が定まっていないため、今の中国の人権状況に対する国会非難決議も結局今回も見送りになった。それも自民党内の(調整の)話で、今回もいわば腰砕けになって、明確なメッセージを出していない。その中で単に外交的ボイコットをどうするかということになっていること自体が非常に拙速だ。もう少しうまくできなかったのか。

玉木雄一郎氏(写真:FNNプライムオンライン)

佐藤氏:まったくご指摘のとおりだ。人権状況については、多くの国ではまず議会がリードし、意思を示すものだ。今回、政府は政府高官を送らないと言っても、「外交的ボイコット」という言葉を使わないし、おそらく人権状況を理由とすることもないと思う。「総合的に勘案して適切な人間を派遣した」というレベルだろう。であればあるほど国会で「人権状況は問題だ」との決議をすることで、日本として人権について大きな懸念を有しているということが言えるわけだ。

松山キャスター:自民党の茂木幹事長が「そのタイミングではない」と言って、今回の決議は見送られた経緯がある。

佐藤氏:非常に残念だ。高市政調会長も同じ意見だと思う。議連の立場で申し入れたが「中身はいいがタイミングの問題だ」という話をされたようだ。前回の通常国会では、公明党との調整が十分でなく、(非難決議の)文言が出なかった。今回は調整が終わっていた。タイミングというと、政府が態度を決めてから議会が態度を決めるのは順番が逆だ。議会がまず決めてから政府が態度を示す。しかも、政府はおそらく人権が理由とは言わない。さまざま次のことがあるから、それは言わないほうが賢いと思う。それであればあるほど議会がまず先に立って環境を作り、その後に政府が決めるというほうが(いい)。普通の国はだいたいそんな感じだ。

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